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2010年9月18日土曜日

2010-09-17

  1. 読書の秋がやってきたにもかかわらず、年のせいだかビタミン不足だかで最近は目が疲れるようになって、読む気力が続かなくなってきちゃった。重厚な大長編の素晴らしさはよく判っているけど、肩の凝らないエンタメで手っ取り早く楽しみたい時も多いのだ。
  2. ちょいと寄った書店で、「自炊」するほどでもない、消費というか蕩尽を前提としたエンタメ小説を選ぶとするよね。さあ、どれを買うか。当然、立ち読みでぱらぱらと中味を読むことになる。そのとき途中から読んだりはしない。だからこそオープニングは重要だなあと今更ながら思う。
  3. 小説で一番多くの人に読まれるのは「1行目」。ってことは、作品を「読ませる」上で一番大切だってことだと思う。それでは次に大切な部分はどこでしょう?
  4. それは「2行目」だな(笑)あ、でも、笑わせようとしているのではないよ。
  5. 1行目の出来次第で2行目を読む人の数は変わる。いわゆる「オープニング」の間中、これが繰り返される。作り手はこの読者の自然減と戦わなければならないわけだよね。どんな手を使ってでも。
  6. どうにかして自然減を最小に食い止めなければ、最悪、オープニングが終わるとともに読者はいなくなる。
  7. 逆にここで読者の心を掴んでしまえば、オープニング明けに説明的なシーンが来ても興味を持って読み続けてもらえるはずだ。自分が読んでいるときを考えるとね。
  8. 「オープニング」で人間関係や登場人物のキャラ立てなどのセッティングばかりに気を取られていると、会話メインの大人しいものになりがちだ。読む側としてはそういうのっていったん退屈しちゃうとなかなか前に進めない。
  9. だからと言ってただ単に「爆発シーン」や「アクションシーン」を書けばいいのだろうか? いやいや、そんなわけにゃあがね。
  10. もちろん「見た目の派手さ」はエンタメとして非常に重要である。だが、それ以上に日常と非日常のズレのふり幅が大事なのだ。そんでもって読んでる俺は半分まだ日常にいるわけで。
  11. そんな夢うつつで空中浮遊している読者をガキッと捕まえるために、日常と非日常の狭間に、あえかな蜘蛛の糸で、強靭な蜘蛛の巣を張らねばならない。
  12. サイズや角度や光の反射の具合を考えて、どこに巣をかけるか決めねばねばねばの蜘蛛の糸。慎重に、かつ大胆に。獲物への愛を込めて、欲望を秘めて。……簡単な作業ではない。まずはその覚悟が必要だなあ。

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