●主人公に目的はあるか
ブンコ「ぴこ蔵師匠、主人公の『目的』っていうのは
どーゆーこと?」
ぴこ蔵「主人公がやらねばならんことであり、
主人公の存在理由そのものじゃ。
意味もなく外出したり、暇なのでパチンコに行ったりする。
そんなヒマは主人公にはありゃあせん。
何も変わらないなんてもってのほかじゃ。
主人公たるもの読者の貴重な時間を浪費することは許されん。
パチンコひとつやるにも確固たる動機が必要なのじゃ!」
ブンコ「き、厳しいんだねー、主人公の立場って」
ぴこ蔵「当たり前じゃ。主人公は何かを為すために存在しておる。
常に「何をする」かをはっきり決めてやらねばならん」
ブンコ「前回の実例(2)の主人公の場合は
『遺産を相続するためにパチンコ台を攻略する』
というのが目的になって、
ストーリーが動き始めたわけかー」
ぴこ蔵「主人公の明確な目的こそが『物語のエンジン』なのじゃ!」
ブンコ「じゃあ、ストーリーが始まったらすぐに事件が起こらないと
読者はついてきてくれないんだねー。
出来るだけ早く目的を明確にすることが作者の義務ってことか」
ぴこ蔵「おぬしの主人公は目的に向かって全力疾走しとるか?」
●主人公には苦難を与えよ
ブンコ「じゃあ『障害物』ってゆーのは何?」
ぴこ蔵「これが人間の不思議なところなんじゃが、
いくらすごい目的を設定しても、
あまりにも事が順調に運んでは
ちっともドラマチックには感じないのじゃな」
ブンコ「そういえば、例文(2)の主人公にしても、
『負傷」『不利なルール』などの理不尽な危機が
次々に襲いかかってくるからこそ
ドキドキハラハラしちゃうわけだよね。
確かに、これと言ったピンチもなしに目的が達成されたって
読者にとってはぜんぜん面白くないもんねー」
ぴこ蔵「良いエンジンを積んだら、
さらに物凄い悪路を走らねばならん。
苦労しないと読者は前に進んでいる実感が湧かんのじゃ。
いやはや、物語作りはサファリラリーみたいな作業じゃよ」
ブンコ「読者の興味をひきつけるためには、
主人公を襲う苦難が必要だってことかー!」
ぴこ蔵「『障害物』とはまさにそのことなんじゃよ!」
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