ぴこ蔵「それでは『対立』の実例として
「会社に遅刻したOLと上司との会話」を書いてみよう。
ただし、ポイントとして
『この会社では電車の事故で遅れた場合は証明書が必要』
ということを絶対書かなければならないと決めておこう。
ま、対立を避けて平穏に会話するとこんな感じじゃろう」
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上司「おや、どうしたの? 遅刻?」
OL「すみません! ちょっと忘れ物して1本遅いのにしたら
今度はその電車が事故で遅れてしまって…」
上司「30分ね。まあしょうがないよね。
たまにはこんなこともあるさ」
OL「何か証明する書類とか提出したほうがいいですか?」
上司「事故のせいだし僕は別にいいんだけどさあ。
ただ最近ちょっと管理の件で上がうるさくってね、
ま、念のためってことで、
悪いけど駅で証明書もらっといてよ」
OL「はい、わかりました。お昼休みに行ってきます。
申し訳ありませんでした。以後気をつけますから」
上司「はいはい。よろしく」
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ブンコ「なんかこんな会話、別に書くほどのもんじゃないですよね」
ぴこ蔵「どうやってもこれ以上はふくらまないしな。
そこで、軽くギャグ風に対立させるとこうなる」
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上司「おい、遅刻してきて挨拶なしか?」
OL「だって電車の事故ですから」
上司「こっちは別に電車で来てくれって頼んだ覚えはないぞ」
OL「じゃあタクシー代、課長が出してくれるんですか?」
上司「そういうことを言ってるんじゃないだろ!」
OL「わかりましたよ。駅で証明書もらってくればいいんでしょ」
上司「なんだよお前、態度悪いぞ」
OL「お前なんて言わないで下さい。私は課長の奥様じゃないんです。
まあ、奥様にはお前なんて言えないと思うけど」
上司「言ってるよ」
OL「あら、じゃあこないだの飲み会でセクハラしたこと
奥さんにはまだバレてないんですねえ」
上司「あ、それは違うんだ。誤解、誤解なんだよ」
OL「フン」
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ぴこ蔵「ちょこっと対立させるだけでテンションが上がる。
読者も「おや?」と集中するし、
伝えたい情報の他に
「次はどうなる?」の要素が入ってくる。
つまり、
いろんな情報が隠しやすいのじゃ」
ブンコ「情報を隠すってどういうこと?」
ぴこ蔵「例えばこの『駅で証明書をもらう』というのが
重要な伏線だとする。
ところが、この時点では
読者にそのことを気づかせたくない。
そんな時、
OLと上司の関係に目を向けさせてしまえば
読者の意識はそちらに流れてしまうのじゃ」
ブンコ「実例だとよくわかるねー。
退屈になりそうな部分には「対立関係」を持ち込むと
緊張感も出るしテンポもいいし。
登場人物のキャラも立って
ずいぶん面白く説明できちゃうんだなー…」
ぴこ蔵「ドラマとは
主人公が他の登場人物と対立することで生まれる。
さて、それでは主人公は、
いったい誰と、何のために対立するのじゃろうか?
実はそこには、お主の物語を一気に走り出させるための
『物語のエンジン』が隠れているのじゃ!」
ブンコ「ドラマとは、
主人公が他の登場人物と対立することで生まれる。
…なるほどなー!」
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