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2008年1月4日金曜日

面白い物語創作講座 基礎編05 物語をドラマチックにするために

●物語をドラマチックにするために


ぴこ蔵「お次のテーマは『ストーリーの基本形』!
    まあ、ストーリーのパターンと言っても相当あるし、
    その作り方に到っては星の数じゃ。
    決して誤解して欲しくないのじゃが、わしは、
    唯一絶対のストーリー製作法を教えるわけではないぞ。
    そんなことはあり得ない! 不可能じゃ!
    ただ、最低限これさえ知っておれば、
    少なくとも
    お主のストーリーが途中で道に迷うことはない。

    …という
    非常に実戦向けに簡略化した方法を伝授しようと思う。
    この方法を用いて、とにかくひとつでもいい、
    ストーリーのあらすじを最後まで作って欲しいのじゃ!
    一つ出来たらもう一つ。
    これを何度も繰り返すことによって、
    創作の要点が掴める。
    何事も経験、そして反復練習じゃ!
    アタマで考えてテクニックを選んでおるようではまだまだ。
    無意識にさまざまな技法を繰り出せるようになるまで
    とにかくあらすじを作りまくることじゃ!
    1日1あらすじ! これが目標じゃ!
    説明のために、あらすじの実例を2つ用意してある。
    それでは、よくある失敗例として、
    まずは実例(1)を読んでもらおうかの。
★★実例(1)
  パチンコ台には巨大な龍が描かれていた。
  その両眼は主人公をにらみつけている。
  主人公は今日も朝から暇つぶしにパチンコ屋で
  玉をはじいている。
   
  いくつになっても定職につかないことに腹を立てて
  自分を勘当した亡き父も、会社の帰りに
  よくこのパチンコ屋に通っていたことを思い出す。
  腹が減ったのでパチンコを中断し、近所の立ち食いそば屋で
  たぬきそばを食べていると、誰かに肩を叩かれた。
  振り向けば兄が立っていた。やはり暇そうである。
  仕事は休みかと問いかけると、兄はうなずいてそばをすすった。
   
  主人公は兄とパチンコ屋に戻って新しい台を探す。
  隣同士に座って顔見知りの男の噂話をした。
  その男は親が急死して家業の米屋を引き継いだのだ、
  と主人公が言った。
  「米屋もあれだけどコンビニ経営もいいよな」兄は言う。
  「実はリストラされちゃってさ。一緒にコンビニやるか?」
  
  突然の兄の申し出に主人公はどう答えてよいかわからない。
  相変わらず玉も出ない。
  最後の玉が無くなった時、
  昔、亡き父がよく歌っていた歌が店内に流れた。
   
  その瞬間、
  今は亡き父の思い出とともに一つの言葉が
  主人公の脳裏に甦った。
  「兄貴を見習って就職しろ」
  主人公はタバコが吸いたくなる。
  しばらく止めていたタバコを兄からもらって火をつける。
  どうってことはない、またひとつ禁煙が終わっただけだ、と思う。
  パチンコ台の龍は主人公を叱るかのようににらみつけている。
   
  主人公は「別に何でもいいけどな、俺の方は」と呟いた。

 ぴこ蔵「どうじゃな? ↑の例は?」
 ブンコ「うっわ~。やる気ないっつーか退屈っつーか
     本当に何も変わんないなー。
     でも、よく見かけるんだよよねー、こんな感じのハナシ」
 ぴこ蔵「パチンコしてそば食ってタバコ吸っただけじゃからなあ」
 ブンコ「『俺、小説書いたんだけど、読んでくれない?』とか言って
     こういうの読ませられたことあるんだけどさー。
     悪いけど正直たまんなかったっす。
     こんな話を聞いても「ドラマチックねえ」とは思わないよねー」
   
 ぴこ蔵「つまり、誰とも対立しないこんな話にはドラマがないんじゃ。
     これではいつまでたっても物語が動き出さん。寝たきりじゃ」


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